3人に1人が、満足しているのに動けない

いきなりですが——

今の職場、そんなに悪くない。人間関係も、まあまあ。そう思いながら、新しいことに手を挙げるのは、なんとなく見送っている。

割とよく聞く話ではありませんか。

一般社団法人プロティアン・キャリア協会と4designs株式会社の調査に、19,154名の回答が集まっています。
そのなかで「組織環境に満足しているが主体的な行動にはつながっていない層」が34.3%と、いちばん多かったそうです。

※調査元:一般社団法人プロティアン・キャリア協会/4designs株式会社
「【約2万人のキャリア調査公開】人的資本経営は『働きやすさ』から『挑戦を生む環境』へ。」
 この34.3%は、リンク先の「調査結果の詳細」の2番目の見出し「現在の仕事には満足。一方で、将来のキャリア像は描きにくい実態が明らかに。」の中にあります。(19,154名という数字は、ページ下のほうの「本調査概要」に「有効回答数:19,154名」として書かれています)

こうも書かれていました。

「年齢を重ねるにつれて自己理解力は向上する一方、キャリア目標は全年代で低水準にとどまることが明らかになりました。」

満足しているのに、動けない。自分のことは分かってきたはずなのに、目標が見えない。

どういうことなんでしょうか。

 

どんな環境なら、満足なのか

まずは、満足という言葉を、ひとまとめにしすぎていないだろうか。

人事の仕事をしていた頃、人事評価面接と同時に、従業員満足度調査を行ったことがあります。

満足していることには、給与、仕事、就業時間や休日、福利厚生、人間関係、スキルや経験値——十人十色でした。

満足って、個人の性格や嗜好が強いんだと思います。同じ会社の、同じ制度の下にいても、何に満足するかは人によって違う。

研修の現場でも、同じでした。あるアンケートでは「期待に対して満足できたか」は91.1%。

けれど「会場・研修環境は満足できたか」は66.7%。

同じ場にいて、同じ時間を過ごしても、どこを見ていたかで答えが変わる。

良い環境を一つに決めることは、たぶんできません。

だから、環境を整えるだけでは、満足も、動くことも保証できないんだと思います。

 

知る|自分のことは、自分がいちばん知らない

チームビルディングの研修で、何度も見てきた場面があります。

同期や同僚なのに、どこかで牽制しあっている。そんな関係から始まることが、少なくありません。

そして、課題を渡すと、チーム内で、それぞれが自分のアイディアを口にします。それぞれの言葉で、出てくる。

すると、相手の見方が見えてくるのと同時に、自分がどんな見方をしていたかも、自分で気づくことがある。

牽制していたのは、相手を知らなかったからだけじゃない。自分がどう見えているかも、自分がどう見られているかも、自分では分からなかったから。そう思うことが多々あります。

あなたはどうでしょう。最近、自分の考え方の傾向が見えた場面は、ありましたか。

 

分かる|自分だけ分かっても、チームにはならない

ただ、自分の考え方の傾向を知るだけでは、まだ何も進まないことがあります。

いくつも出たアイディアから、どれで実行するかを、チームで決めていく。

ここで起きるのは、お互いの考えを、お互いが分かっていく作業です。自分の考えを通す場ではありません。

自分が分かっているつもりでも、相手に伝わっていなければ、チームは動きません。
相手の考えがどんなに良くても、自分が分かっていなければ、同じです。

分かるというのは、一人で完結することじゃないんです。

 

発揮する|分かっただけでは、動けない

決まったアイディアを、実際に試してみる。すると、うまくいかないことが出てきます。失敗もする。

このとき何が起きるかで、その先が大きく変わります。

失敗したアイディアを、誰かが否定したら——そこで、止まります。
次のアイディアを出す気持ち、次に動く気持ちが、萎えてしまうから。

チームビルディングの研修で何度も見てきた場面では、そうはなりませんでした。

失敗しても、試したアイディアを否定するわけではなく、ブラッシュアップしたり、視点を変えたアイディアを出して、また取り組んでいく。

そこには、チームを組んだみんなのアイディアが少しずつ足されて、一つの形になっていく過程がありました。

分かっているだけでは、動けません。動いて、失敗して、それでも否定されない場所があって、初めて発揮できる。

あなたのまわりに、失敗しても否定されない場所や環境が、ありますか。

### 繋がる|社内で繋がった人は、社外でも繋がる

課題に向けて、みんなのアイディアが足されて一つの形になったとき、そこには最初に無かった繋がりができています。

牽制しあっていた同期や同僚が、知って、分かって、発揮する。それを一緒に通り抜けたあとに、同期や同僚との繋がりができていく。

そして、同期や同僚と社内で繋がった人は、社外でも繋がっていく。私は、そう見ています。

一人で完結する自己理解では、ここまでは届きません。

 

4つは、順番

知る、分かる、発揮する、繋がる。

この4つは、順番。どれか1つだけをやればいい、という話ではありません。

知らないまま分かることはできないし、分かっていないまま発揮しても、チームは受け止めきれない。
発揮する場がないまま繋がりだけを作っても、表面的なものになります。
1つ飛ばすと、その先が成立しません。

チームビルディングを検討している方と話をしていると、階層別の研修や、スキルに関する研修を行っている会社は多いと感じます。
けれど、部署を超えた横のつながりを主目的にした研修を行っている会社は、まだ少ない印象です。
部署を超えた横のつながりは、同じ会社だから、組織として互いに関わっているから、大人だからと目を向けていないことが多い。

ただ、つながりを作っていくことが、組織を強くしていくことに繋がると、感じている方は多いのに、です。

ただ、正直に書いておきたいことがあります。

この4つを順番通りにやったからといって、必ず人が変わる、とは言い切れません。本人の実感が上がっても、周りから見た変化は、また別の話だったりします。それは、目に見えにくいから。

順番は、土台です。やれば必ず変わる、という保証ではありません。
ただし、やれば確実に変わるきっかけ、変わっていこうというスイッチは入ります。

 

自分と人に満足すれば、動く

最初の問いに戻ります。

満足しているのに、動けない。34.3%という数字を見て私が思ったのは、環境への満足だけでは足りないんじゃないか、ということでした。

場や環境を作ることは、目的じゃなくて、手段だと思うから。

本当の目的は、自分が、自分として、繋がっていける関係性を作ること。

研修を受けた方の言葉にも、それが出ていました。「同じチームのメンバーとは話せる関係を築くことができた」。

そして37%が、「横のつながり」を期待して来ていたんです。

3人に1人が、スキルや知識より先に、関係を求めて来ている。

関係ができれば、自分から自然と動いていきやすい。私は、そう思っています。

環境に満足しているのに動けないとき、足りないのは、もっと良い環境じゃなくて、自分が自分のままでいられる、繋がりなのかもしれません。

 

まず1枚、書いてみませんか

知る、分かる、発揮する、繋がる。この4つのうち、自分は今、どこにいるだろう。

そんな問いから、始めてみませんか。

「らしさととのうハックラボ」に、自分と向き合うためのフォームを置いています。飲み物でも片手に、まず1枚、書いてみてくださいね。

→ [らしさととのうハックラボ]

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