いきなりですが——
ノートに「私は、〇〇です。」と書いて、
その下の空白を、しばらく眺めていたこと、ありませんか。
あるいは、書けた人もいると思います。
10個も、20個も、するすると出てきた。
なのに。
次の日になったら、何も変わっていない自分がいる。
書き出す前と、同じ朝が来る。
同じ電車に乗って、同じ席に座っている。
「あれだけ書いたのに」
そう思った瞬間、たいていの人はこう結論づけます。
自分は、意志が弱いんだ、と。
8年前に、7日連続で書いたことがあります
2018年の6月に、7日続けて記事を書きました。
「私は、〇〇です。」という一行を、
いろんな角度から埋めていく話です。
ネガとポジから。
過去・現在・未来から。
人と関わるときの自分から。
感情から、思考から、スキルから。
テンションが上がる瞬間から。
角度を変えれば、違う〇〇が出てくる。
同じ人なのに、出てくる言葉が変わる。
一番はじめの記事に、こう書いています。
> 「私は、〇〇です。」には、自分らしさのかけらがある
かけら、という言葉を使ったのは、たぶん、意味があったのだと思います。
かけらは、かけらのままでは、まだ何にもならない。
正直に言うと、私も動けませんでした
起業を考えたとき、私もまず市場を調べました。
表を作って、需要と初期費用を並べて。
どこが空いていて、どこが埋まっているのかを、きれいに整理して。
「よし、分かった」
そう思って、いざ始めようとすると——まったく心が動かない。
調べた紙は、机の上にあるんです。
書いたことも、間違ってはいないんです。
でも、体が向かない。
あのとき私が思ったのも、やっぱり「自分は意志が弱い」でした。
動けない理由は、意志ではなかった
いま振り返ると、そうじゃなかった。
書いた自分と、今の自分が、ズレていただけ。
「だけ」と書きました。
これ、自分を責める話じゃないんです。むしろ逆で。
書き出した「自分らしさ」は、書いたその瞬間の自分です。
書き終わった次の日には、もう昨日の自分になっている。
1か月経てば、先月の自分。
8年経てば、8年前の自分。
書いたものは、そのまま止まっています。
でも、自分のほうは、止まっていない。
だから、ズレる。
自然なことなんです。
なぜ、ズレていくのか
理由をもう一歩深めると、そこには——
・役割が変わる ⇒ 求められるものが変わる
・関わる人が変わる ⇒ 出す顔が変わる
・できることが増える ⇒ 「当たり前」の位置が上がる
3つとも、悪いことじゃない。
むしろ、生きていれば全部起きます。
でも、そのたびに「私は、〇〇です。」の〇〇は、少しずつ位置を変えている。
なのに、書き出したノートだけが、あの日のまま置いてある。
地図は持っている。
持っているのに、その地図は、去年の街のものだったりする。
ズレているとき、こんなことが起きます
自分では気づきにくいので、合図のようなものを書いておきます。
・「どんなお仕事ですか」と聞かれて、説明がやたら長くなる
・昔書いた「やりたいこと」を読み返して、なぜかピンとこない
・褒めてもらった言葉が、うれしいのに、少しだけ他人事に聞こえる
・「自分らしくいよう」と思うほど、なぜか窮屈になる
どれも、自分が間違っているサインではありません。
言葉のほうが、今の自分に追いついていないサインです。
説明が長くなるのは、ひとことで言える〇〇が、まだ更新されていないから。
他人事に聞こえるのは、その褒め言葉が、少し前の自分に向けられているから。
窮屈なのは——たぶん、いちばん切ないやつです。
あの日書いた「自分らしさ」を、
今の自分が、守らなきゃいけない決まりごとにしてしまっている。
自分で書いたものに、自分が縛られる。
そんなつもりで書いたわけじゃ、なかったはずなんですけどね。
だから、要るのは「もっと深く知ること」じゃない
自己理解が足りないんだ、と思うと、人はもっと掘ろうとします。
もっと過去を思い出そう。
もっと深く分析しよう。
もっと正確な言葉を探そう。
でも、掘っても掘っても動けないなら、
足りないのは深さじゃないのかもしれません。
必要なのは、**今の自分と、合わせ直すこと**。
書いたものが間違っていたわけじゃない。
あのときは、合っていた。
ただ、そのままにしておいただけ。
服を思い浮かべてもらうと、近いかもしれません。
去年ぴったりだった服が、今年は少しきつい。
服が悪いわけでも、体が悪いわけでもない。
合わせ直す時期が来た、というだけのこと。
そう思うと、少し楽になりませんか。
書き出したものが古くなるのは、失敗じゃない。
それだけ動いた、ということなんです。
止まっている人のノートは、いつまでも合ったままですから。
全部を書き直す必要は、ありません
合わせ直す、というと、
また100個書き出すのかと思われるかもしれません。
そうじゃないんです。
ひとつでいい。
前に書いた「私は、〇〇です。」を1行だけ選んで、
そこに、今日の日付で、もう一度書いてみる。
同じ言葉が出てきたら、それは芯です。
8年経っても変わらなかった、ということですから。
違う言葉が出てきたら、それがズレていた場所です。
たったそれだけで、
「動けない」の理由が、意志の話から、言葉の話に変わります。
意志は、増やせません。
でも、言葉なら、今日、書き直せる。
合わせ直すのは、ひとりだと難しい
ここが正直なところで。
自分のズレって、自分では見えにくいんです。
「変わったな」と気づくのは、たいてい他人に言われたとき。
鏡を自分で見ても、毎日見ているぶん、変化が分からない。
だから、ひとつ離れた場所から見る道具が要ります。
私はいま、「らしさととのうハックラボ」という場所を作っています。
書き出すためのフォームを並べてあって、
今の自分に合う一枚を選べるようにしてあります。
書き出したものが古くなったら、また新しく書き直せばいい。
一度書いて終わり、ではなくて。
らしさは、見つけるものというより、ととのえ続けるものだと思っています。
飲み物でも片手に、のぞいてみてくださいね。
「私は、〇〇です。」シリーズ 全9本
まだ書き出したことがない方は、こちらから。
8年前に書いたものですが、埋める作業そのものは、いまも変わりません。
1. 「私は、〇〇な人です。」書き出して、自分らしさを見つける!!(2017.11.19)
2. 「私の宝物は、○○です。」書き出して、自分らしさを見つける!!(2017.11.21)
3. 「私は、〇〇です。」には、自分らしさのかけらがある(2018.06.15)
4. 「私は、〇〇です。」からネガ・ポジの自分らしさが見つかる?(2018.06.16)
5. 「私は、〇〇です。」から過去・現在・未来の自分らしさが見つかる(2018.06.17)
6. 「私は、〇〇です。」から人と関わる自分らしさが見つかる(2018.06.18)
7. 「私は、〇〇です。」から感情・思考・スキルの自分らしさが見つかる?(2018.06.19)
8. 「私は、〇〇です。」からテンションがあがる自分らしさが見つかる?(2018.06.20)
9. 「私は、〇〇です。」から自分らしさの強みが見つかる?(2018.06.21)

