同期の活躍を見て心がざわついていませんか

身近な人の知らせに胸がざわつく時間

同期が昇進したという話を聞いて、
「おめでとう」と言った声が、
自分でもわかるくらい薄かったこと、ありませんか。

夜、なんとなく開いたSNSに、
友人の起業報告が流れてくる。

その下には、後輩が大きなプロジェクトを
任されたという投稿が並んでいる。

画面を伏せて、天井を見上げる。

取り残されているのは自分だけのような気がして、
重い空気が胸の中に広がっていく。

「人の幸せを素直に喜べないなんて、
自分はどうしてこんなに器が小さいんだろう」

そうやって自分を責めてしまう夜を、
過ごしたことがあるかもしれません。

誰かと比べて落ち込むのは苦しいものです。

けれど、誰かと自分を比べてしまうのは、
あなたの性格に問題があるからではないのかもしれません。

 

比較は脳が現在地を知る仕組みという話

STUDY HACKERが2026年9月12日に公表したコラム記事、
『つい他人と比較してしまう? そんなの、実は普通です。——脳の「比較グセ」と気楽に向き合う3つの方法』
https://studyhacker.net/social-comparison-theory
を読みました。

記事の中では、人と自分を比べてしまうのは、
人間が生まれつき持っている正常な機能だと説明されていました。

仕事の充実度や人生の進み具合には、
テストの点数のような絶対的な物差しがありません。

絶対的な物差しがないからこそ、
人は無意識に「隣にいる人」を目盛りにして、
自分の現在地を確かめようとするのだそうです。

心理学者アブラハム・テッサーの「自己評価維持モデル」によると、
人は自分にとって大切な分野であるほど、
心理的な距離が近い相手の成功に胸がざわつくのだといいます。

遠く離れた有名な選手の活躍には素直に拍手を送れるのに、
身近な同期の成功には心がざわついてしまうのは、
人間として当たり前の心の反応なのだそうです。

かつては身近な「比べる相手」は数人程度でした。

けれど現代は、スマートフォンの中に
何千人もの「近い人」が入り込んでいます。

しかも目に入ってくるのは、
誰かの暮らしの華やかなハイライトばかりです。

入力される情報の量が膨れ上がったことで、
比較の仕組みが過剰に作動してしまっている、
と記事では指摘されていました。

ここまでが、STUDY HACKERの記事に書かれていたことです。ここからは、これを読んで僕が考えたことです。

 

転職活動で不採用が続いていた頃のこと

身近な誰かと比べて焦る気持ちについて、
僕にも苦い記憶があります。

僕は、転職活動をしていた時期、
6ヶ月に50社以上応募して不採用が続いたことがありました。

そこから正社員になりました。

けれど、不採用の通知が何通も届いていた毎日は、
出口の見えないトンネルの中にいるようでした。

世間では同世代の人たちが当たり前のように働き、
役職についたり新しい挑戦を始めたりしている。

それに引き換え、自分はどこの会社からも
必要とされていないのではないか。

誰かと自分を比べても何一つ状況は好転しないのに、
頭の中では勝手に他人の姿と自分の現在地を並べては、
落ち込むことを繰り返していました。

周りが前に進んでいるように見えるほど、
立ち止まっている自分が惨めに思えてくる。

今振り返ってみると、あのときの僕は、
他人の歩幅ばかりを物差しにして、
自分の足元を見失っていたのだと思います。

 

他人の物差しを眺めるのをやめたとき

心が少しずつ落ち着きを取り戻したのは、
他人の物差しを覗き見るのをやめたときでした。

誰かが何社受けて何社内定をもらったか、
同世代がいくらの給与をもらっているか。

そんな外側の基準ばかりを見ていても、
自分が今日できることは何も変わりません。

「今日、履歴書を1通丁寧に書けたか」

「昨日の面接の振り返りを、次に活かせたか」

他人との距離ではなく、
「昨日の自分との距離」に物差しを置き直す。

比べる対象を自分自身に戻したとき、
余計な焦りが少しずつ引いていきました。

比較すること自体を完全に止めるのは難しくても、
「誰と、どの物差しで比べるか」は、
自分で選び直すことができるのだと思います。

 

比較の物差しを自分に戻す3つの手順

もし、誰かの活躍を目にして心がざわついたら、
次の3つの手順を試してみてください。

①刺激が入ってくる蛇口を小さく絞る

まず、胸がざわつく原因になっている情報の入力を、
意図的に減らしてみます。

相手を嫌いになる必要も、
関係を断ち切る必要もありません。

ただ、受動的に眺めてしまうSNSのアカウントを
少しのあいだミュートにしてみる。

あるいは、夜寝る前の1時間だけ、
スマートフォンを別の部屋に置いてみる。

蛇口から入ってくる情報の量を減らすだけで、
頭の中の騒がしさは随分と静まります。

②比べる軸を複数並べてみる

人は誰かと比べるとき、
「仕事の肩書」や「収入」といった、
たったひとつの軸だけで勝ち負けを決めがちです。

けれど、生きるための軸はひとつではありません。

– 日々の暮らしを大切にできているか
– 家族や身近な人と穏やかに過ごせているか
– 自分の心と体が健康であるか
– 自分が興味のある学びを続けられているか

ノートに、自分が大切にしたい軸を
いくつか書き並べてみます。

ひとつの軸では追いつかないように見えても、
別の軸では十分に満たされていることに気づけます。

③過去の自分との距離を確かめる

物差しの当て先を、隣の誰かから、
「過去の自分」へと戻してみます。

– 「1年前には知らなかったことを、ひとつ覚えた」
– 「半年前より、自分の気持ちを落ち着いて眺められるようになった」
– 「先月より、断る勇気が少しだけ持てるようになった」

他人との距離を測ると焦りが生まれますが、
過去の自分との距離を測ると、歩んできた足跡が見えます。

比べる相手を過去の自分にするだけで、
比較は苦しみではなく、前へ進む支えになります。

 

自分の歩幅を取り戻したあとのこと

誰かの活躍を見てざわつくのは、
あなたが自分の人生を諦めていない証拠かもしれません。

本当はもっと進みたい、何かをつかみたいという気持ちが、
心の奥にあるからこそ、反応してしまうのです。

だから、ざわつく自分を責める必要はありません。

「ああ、僕はあの分野に関心があるんだな」と、
自分のアンテナの向きを受け止めてあげる。

そして、他人の物差しを一度脇に置いて、
今日自分が踏み出せる小さな一歩に視線を戻す。

誰かの足跡を追いかけるのではなく、
自分が歩んできた道筋を確かめる。

いま、あなたが大切にしたい物差しは、
どんな目盛りを持っているでしょうか。

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