開かないまま重なっていく本
このままじゃまずいと思って、
本屋でビジネス書を買った。
通信講座の案内も取り寄せた。
けれど、平日は仕事で手いっぱいで、
家に帰ると、開く気力が残っていない。
そのまま、ベッドに入る。
机の端の本は、買った日のまま。
目に入るたびに、
今日も何も学べなかったことが、
気になってしまう。
そんな夜は、ありませんか。
学ばなきゃと焦るのは、
自分の先のことを、
真剣に考えているからかもしれません。
何もできなかった日が気になるのも、
伸びたい気持ちがあるからだと、
僕は思っています。
けれど、机に向かう時間が取れないことだけで、
「自分は何も学んでいない」と
決めてしまっているとしたら。
見落としているものが、
あるのかもしれません。

1日13分という数字
そんな焦りを、本人のやる気とは
別の角度から見た記事を、
先日、ダイヤモンド・オンラインで読みました。
経営学の研究者が書いた本から、
一部を抜粋した記事です。
※出典元は、末尾参照
記事では、総務省統計局が2022年に発表した
「令和3年社会生活基本調査」から、
社会人の1日あたりの平均勉強時間が
13分だという数字が紹介されていました。
別の国際比較の調査では、
勤務先以外の学習や自己啓発を
「とくに何も行っていない」と答えた人が、
日本では52.6%だったそうです。
この数字だけを見ると、
「やっぱり、やる気の問題か」と
思いたくなるかもしれません。
けれど記事は、原因を本人のやる気だけに求めると、
企業の側にある「学びを妨げる構造」を
見落としてしまう、と書いています。
たとえば、今の業務が忙しすぎて、
時間的にも心理的にも、
新しく学ぶ余裕がない職場。
そこでは、学ぶことより、
目の前の仕事を捌くことのほうが
先に立ちやすい、と著者は見ています。
職場と個人の学びについて書かれた本の抜粋で、
どの職場にも当てはまるとは限りません。
勉強と呼んでいる時間
同じ記事には、
「学習」や「勉強」というと
敷居が高くなるのかもしれない、
という一文もありました。
僕はここから、
自分が勉強と呼んでいる時間のことを
考えてみました。
机に向かって参考書を開くこと。
資格のためにノートをまとめること。
セミナーで話を聴くこと。
そういう分かりやすい時間だけを
勉強と数えていると、
それができない日の自分は
「何もしていない人」になってしまうことがあります。
けれど、仕事の中で
「どうしてうまくいかなかったんだろう」と
立ち止まって考える数分間。
先輩のやり方を見て、
「次はこうしてみよう」と手順を変える瞬間。
そういう小さな立ち止まりも、
学びに入れていいはずです。
机に向かう時間だけを数えていると、
仕事の中で毎日している工夫が、
目に入らなくなってしまうのかもしれません。
ページが進まない読書

僕も、本を読みながらメモをして、
なかなかページが進まないことが
結構あります。
ただ、ページが進まない時間を
「勉強できていない時間」と
数えなくてもいいのではないか。
僕は、そう思っています。
仕事の中の気づきを1行残す3つの手順
もし、机に向かう時間が取れずに
「勉強できる時間がない」と焦っているなら、
次の3つを試してみてください。
3つとも、やらなくて大丈夫です。
①を思い出すだけでも構いません。
① 今日、手が止まった場面を1つ思い出す
仕事の中で「あれ?」と引っかかったことや、
「なるほど」と思った瞬間を、
1つだけ思い出します。
会議での一言でも、
メールを直したときのことでも構いません。
② そのとき考えたことを1行で書く
大きな教訓にまとめなくて大丈夫です。
手帳の隅やスマホのメモに、
考えたことを1行だけ残します。
「あの言い方のほうが伝わった」
「段取りを先に確かめてよかった」
自分の言葉で、短く書きます。
③ 明日、その工夫を1回だけ使ってみる
書いた1行の中から、
明日できそうな小さな工夫を
1つだけ使ってみます。
うまくいっても、いかなくても、
試したことは、また次の1行になります。
今日の仕事の中にあった一つ
何時間も机に向かえない日が続いても、
学ぶことから離れてしまったとは限りません。
日々の仕事の中で迷い、
工夫し、手を動かしている時間にも、
学びは混じっています。
まとまった時間がないと学べない、
という思い込みを、ひとつ手放してみる。
そして、今日拾った小さな気づきに、
目を向けてみる。
今日の仕事の中で、
「あれ?」と手が止まったことは
ありませんでしたか。
「あのときの1行なら、書けるかもしれない。」
そう思えたら、
その1行を、書き留めてみよう。
今日できたことのほうを
数えてみたくなったら、
同じテーマの1枚もあります。
→ できていないことばかり目につく日の1枚

出典
– 発行元:ダイヤモンド・オンライン
– 公表日:2026年10月20日
– 正式タイトル:
日本人の勉強時間は1日たった13分…「学ばない社員」が多い職場の決定的な特徴とは?
– URL:
https://diamond.jp/articles/-/401050
– 著者:安藤史江(南山大学経営学部教授)。『「組織が変わる」には何が必要か――個人・職場・企業の学習の可能性』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集した記事
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