面接や面談のあとに残る重さ
面接の部屋を出て、
エレベーターの扉が閉まる。
あるいは、評価面談が終わって、
自分の席に戻ったとき。
「うまく答えられたはずなのに、
なんだか胸のあたりが重たい」と
感じたことはありませんか。
「この半年、どんなことをしてきましたか」
と聞かれて、
相手が好みそうな答えを返した。
成果を少し大きく見せて、
自分を上手にアピールした。
面接の場は、
滞りなく乗り切れたかもしれません。
けれど、帰り道にふと思う。
「今日話していたのは、
本当に自分のことだったんだろうか」と。
相手の期待に応えようとするのは、
その場に真剣に向き合っているから。
少しでも良く見せようとするのは、
自分を認めてほしいから。
そんな風に、僕には見えます。
ただ、相手の顔色をうかがって、
自分を演じる時間が増えるほど、
終わったあとに乾いた疲れが残る。
面接での言葉は、
本当に、誰のためのものだったのでしょう。

経験を聞く面接に、学生が感じていたこと
先日、株式会社履修データセンターが公表した、
就職活動の調査結果を読みました。
2027年3月に卒業予定の大学生976人に、
2026年5月に聞いた調査です。
(発行元・公表日・URLは、記事の最後の「出典」にまとめました)
就職活動の面接やエントリーシートでは、
学生時代に力を入れたことを聞くのが
定番になっているそうです。
その面接について、65.9%の学生が、
「エピソード中心の面接は、学生の脚色や過度な自己演出を助長している」
と答えています。
「とてもそう思う」と「ややそう思う」を
合わせた数です。
これは、大学生に聞いた
インターネット調査です。
社会人の面接や職場の評価面談に、
そのまま当てはまると広げて言うことはできません。
ここまでが、株式会社履修データセンターの調査結果に書かれていたことです。
ここからは、これを読んで僕が考えたことです。
学生の調査ですが、
経験を聞かれて、話を少し大きくしてしまうのは、
評価面談を控えた会社員にもあることだと思います。
評価される言葉を探す時間
「評価される言葉」を
探せば探すほど、
自分が実際にやってきたことが
見えにくくなるのではないか。
僕は、そう考えました。
相手が何を求めているかを考え、
そこに自分を合わせようとする。
その配慮自体は、
悪いことではありません。
けれど、評価される話を考え、
事実を少しずつ膨らませていくと、
話している自分と、
実際にやってきた自分とのあいだに、
隙間が生まれることがある。
その隙間が、
面接のあとに残る重たさの
正体なのかもしれません。
評価される話を考えこまなくても、
あなたが手を動かしてきた事実は、
最初からそこにあります。
面接が人生相談になった頃

僕は以前、企業の採用担当として
採用面接で向き合ったのは、
5年間で1,000人以上になります。
新卒採用面接の中で、
学生が思わず素を見せ、
涙を浮かべて、
面接が人生相談になることがありました。
評価面接で話す材料は、
大きく見せた話の中より、
あなたが実際にしてきたことの中に
あると思っています。
面接の前に書く3つの手順
評価面接や採用面接の前に、
何を話せばいいか迷っているなら。
次の3つの手順を試してみてください。
① 人が動いた場面を1つ思い出す
大きな成果や、特別な話を
探さなくて大丈夫です。
この半年で、
あなたのおかげで人が動いた場面を
1つだけ思い出します。
すぐに浮かばなければ、
この1週間の中からでも構いません。
メールを丁寧に返した場面でも、
散らかった書類を整えた場面でも、
何でも構いません。
② 盛った言葉より、具体的に動詞だけで書く
思い出した場面を、
「努力した」「成長した」のような
まとめの言葉を使わずに書きます。
「資料の誤字を直した」
「相手の話を最後まで聞いた」
自分がしたことを、そのままを具体的に動詞で書きます。
③ その行動をした理由を自分の言葉で添える
誰かに褒められるためではなく、
なぜそのとき、そうしたのか。
その理由を短く書き添えます。
「次に読む人が困ると思ったから」
「約束を守りたかったから」
長さも書き方も、自分で決めて構いません。
面接で「この半年、どんなことをしてきましたか」
と聞かれたら、
ここに書いた「したこと」と「理由」が、
話し始めの材料になります。
自己評価シートを書くときも、
この2行を、そのまま1行目にできます。
面接の部屋を出たあとに
相手に良く思われたくて、
少し背伸びをしてしまう日は、
誰にでもあると思います。
けれど、大きな話を作らなくても、
あなたが日々の中で選んできた行動は、
ちゃんと積み重なっています。
今週、あなたのおかげで人が動いたのは、
どんな場面でしたか。
「今日、自分は何をしただろう。」
そう思って浮かんだ一つの行動が、
最初の一歩です。
面接の前に、自分の長所と短所も、
盛らない言葉で、想いを並べておきたくなったら、
こちらの1枚もどうぞ。
→ 自分へ10の質問〔自分から見た自分編〕

出典
株式会社履修データセンター 2026年9月25日 10:30公表
【27年卒大学生 就職活動調査】65.9%が「経験を尋ねる面接は、誇張・過度な自己演出を促す」と回答 大学で発揮した力と、就活でアピールしやすい力に22.5ポイントの差
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000149769.html
※株式会社人材研究所との共同調査です。
∞∞∞∞∞∞∞∞ ∞∞∞∞∞∞∞∞
あわせて読みたい記事
・会社にいると、自分らしさなんて出せない気がする(2026年10月5日)
目立つことでも消えることでもなく、大切にしていることを周りから見える形にしておく話です。
・自分らしさは、組み合わせで出来上がっている(2017年9月28日)
辞書では、取り繕っていない本来の自分のありよう。これまでの出来事の中に自分らしさがある、という記事です。
・仕事には、役割がある。その役割に意味を持たせているのは自分(2009年11月26日)
仕事は必ず別の誰かの手に渡っていく。その仕事に意味を持たせているのは自分自身だ、と書いた記事です。

