やってきたことが形にならないとき、一歩なら、一歩で戻れる

名刺を渡したあとの沈黙

「何をされている方ですか?」

名刺を渡したあと、そう聞かれる。
あれもやった。これもやった。
でも、ひと言にしようとすると、言葉が並ばない。
笑ってうなずきながら、手のひらだけが少し汗ばむ。

そんな場面、ありませんか?

やってきたことは、確かにある。
それなのに、形になっていないように感じる。
そのとき、次の一歩をどこへ出せばいいのかも、
決めにくくなるのかもしれません。

今回は、その次の一歩の向きについて書きます。
材料にするのは、最近出た2つの調査と記事です。

 

パーソル総合研究所の調査

1つ目は、パーソル総合研究所の調査です。
発表は2026年7月22日。
調査の名前は、
「AI環境における人材とマネジメントに関する定量調査」です。
https://rc.persol-group.co.jp/news/release-20260722-1000-1/

発表ページの「主なトピックス」にある、
「AIの普及と職場の変化」の見出しの下に、
正規雇用者の生成AI利用率は54.3%で、
半年で12.4pt増えた、とあります。

もう1つは、同じ「主なトピックス」の、
「AI環境で成果を生み出す人材とは」の見出しの下です。
同じAIヘビーユーザーでも、
「メタ・スキル」の高い人と低い人とで、
業務成果に最大3.6倍の差があった、とあります。
メタ・スキルは、集める・決める・確かめる・壊す・蓄える、
といった力をまとめた呼び方だそうです。
成果を左右していたのは、
AIの利用量そのものではなかった、と報告されています。

調査は、全国の就業者2万人へのスクリーニング調査と、
正規雇用者3,300人への本調査です。
(発表ページの「調査概要」)

この調査の限界も書いておきます。
54.3%は、正規雇用者の利用率です。
ほかの働き方の人まで、同じだとは言えません。
3.6倍も、「最大」の差です。
誰にでも当てはまる数字ではないと思っています。

 

共同通信が伝えたマーサーの調査

2つ目は、共同通信の b.[ビードット]の記事です。
2026年5月27日の配信で、
タイトルは『AIで「雇用喪失不安」4割に 従業員回答、大手コンサル調査』です。
https://b.kyodo.co.jp/business/2026-05-27_8447064/

記事本文の1〜3段落目によると、
マーサージャパンの「グローバル人材動向調査2026」で、
日本の従業員のうち、
「将来AIによる雇用喪失が不安」と答えた人が37%でした。
2年前の前回調査は23%で、14ポイントの増加です。
日本の従業員の回答者は、500人です。

こちらにも限界があります。
500人の回答で、日本で働く人全員の数字とは言えません。
この数字から分かるのは、
不安と答えた人が増えた、というところまでです。

 

2つを読んで、僕が考えたこと

ここまでが、この2つの調査と記事に書かれていたことです。
ここからは、これを読んで僕が考えたことです。

AIを使うと、一歩を速く、たくさん出せます。
向きが自分に合っていれば、自分らしいところへ早く進める。
合っていなければ、戻る歩数も早く増えていく。
だから、AIを使う人が増えるほど、
今目の前の一歩をどの向きに出すかが大事になると、
僕は考えています。

パーソルの調査で、僕が気になったのは、
「メタ・スキル」の中に、「決める」「確かめる」があることです。
ただ、この調査が測ったのは、一歩の向きではありません。
これは調査の結果ではなく、僕の読みです。

マーサーの37%については、
向きを確かめないまま、一歩だけが増えていく。
そんな人もいるのかもしれません。
ここも、僕の読みです。

これはAIに限った話ではありません。
転職でも、学び直しでも、同じ形です。
AIは、速さが目に見えやすい例の1つです。

1度違うだけでも、一歩なら、一歩で戻れます。
10歩進んだら、戻るのは10歩以上。
それが100歩なら、、、と感じています。

自分に合う向きがはっきりしていないと、
正反対を向いていても、踏み出しても気づけません。
踏み出した結果で、あとから知ることになります。

 

書いても、並べて見ていなかった頃

僕は、ブログや問いの言葉を、
形を変えながら書いてきました。

でも、書いているあいだ、
書いたものを、並べて見ることはしていませんでした。
書くことと、並べて見ることは、別の行為だったんです。

形になっていないと感じるとき、
足りないのは、量とは限りません。
どの向きに出した一歩だったのかを、
並べて見る機会が、まだなかっただけ、かもしれません。

 

息子に「どうしたい?」と聞いていた頃

息子が小さい頃、僕は「どうしたい?」と常に聞いていました。
選択肢を3つ用意して、息子自身に選ばせる。
答えを教えずに、問い返す。
それが、僕の子育ての流儀でした。

「どうしたい?」は、向きを聞く問いです。
速さが増えても、その問いに答えるのは自分です。

 

一歩を出す前の3つのこと

向きがまだ分からなくても、止まらなくていいと思っています。
一歩なら、ずれても一歩で戻れるからです。
まだ一歩が決まっていなければ、
自分に1つ質問してみるのも、一歩です。
次の3つを、試してみませんか。

① 一歩を、小さくする

10歩ではなく、まず1歩だけ決めます。
大きな決断にはせず、
今日か明日にできる行動にします。

② その一歩に、「どうしたい?」を1回聞く

答えが出なくてもかまいません。
出なかった、ということが分かります。
そのときは、一歩をもう少し小さくします。

③ 出したあとで、確かめる

やってみて、どう感じたかを1行だけ書きます。
自分に合っていたか、ずれていたか。
ずれていたら、その一歩分だけ戻ればいいと思っています。

「結局、自分のやってきたことって、何なんだろう」

そんな声が、頭のどこかで鳴ることもあるかもしれません。
でも、いろいろやってきたこと自体は、もう確かにあります。
ばらばらに見えるのは、
いろいろな場所で動いてきたから、かもしれません。
その時間を、まずそのまま認めたいと思っています。

そのうえで、小さな続きを1つだけ。
ワークシート「自分へ10の質問〔自分から見た自分編〕」があります。
カードの説明は、
「自分の気持ちが見えず、方向転換ばかりで迷うとき。」です。
AIと一緒に書くこともできます。
リンクの先はワークシートの一覧で、
そのいちばん最初に並んでいます。
メールアドレスも要りません。
ワークシートの一覧へ
次の一歩の前に、気が向いたら、のぞいてみてください。

一歩なら、一歩で戻れる。
僕は、そう思っています。

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